はじめに
「裁量労働制」という言葉をテレビで多く聞くようになりました。
「裁量労働制では、それ以外の一般労働者と比べて労働時間が短い」という首相答弁が嘘だとバレて、働き方改革のイカサマ性が明らかになりました。
あなたが、奴隷根性が骨の髄まで沁み込んだ従順サラリーマンでないならば、この記事に少しお付き合いください。
裁量労働制とは?
簡単に言うと、労働の成果を労働時間ではなく成果で評価しようということです。
能力のある人もない人も会社にいる時間だけで一律に評価されるのでは公平でないし、労働者のモチベーションにも響きかねません。
一見、素晴らしい制度に思えてしまいますよね。
仕事内容、仕事の進め方などを自分の裁量で決定できる立場の人が対象です。
しかし、企業に勤めるサラリーマンの任務は、上から降りてきた雑用との戦いであり、上司のご機嫌取りが最大の関心事です。
奴隷サラリーマンにモノを言う権利はありません。
したがって、裁量労働制はごく一部の例外的な職種・職場にしか適用できません。
しかし、「実際の労働時間ではなく、形式的なみなし労働時間分の給与だけ払えばOK」という仕組みに目を付けたブラック企業たちが、裁量労働制の乱用を相次いで開始したのです。
裁量労働制の悪用事例
私が知るある大手メーカーの裁量労働制悪用事例を紹介いたします。
仕事内容も遂行方法も上からの指示に従うしかないような社員に対して、裁量労働制が適用されました。
入社1~2年目の若手も含めて、ほぼ全員です。
会社にいる実際の時間と関係なく、月20時間の残業代は全員に一律払うことになりました。
今までは、月100時間働いていたらその100時間分の残業代がきちんと支払われていたので、陰では不満を口にする人が多かったようです。
実質的な給与削減ですからね。
月20時間以上の残業はせずに、月20時間分の残業代をもらえるならばまだ良かったのですが、当然、そんなことは許されませんでした。
月80時間の残業を強制されながら、月20時間の残業代しか払われないという事例が当たり前でした。
そもそも残業を強制される時点で、裁量労働制の対象外のはずです。
自分の裁量がないのですから。
しかし、社員のタダ働きに味を占めた経営陣は図に乗り、どんどんエスカレートしていきました。
PM11:00近くになってからの会議開始、連日の深夜残業・・・
奴隷サラリーマンの空気を読む習性、有無を言わさぬ同調圧力、社員の問題意識の低さなどもあり、長年、ブラック状態が続きました。
我慢できなくて退職者が相次ぎ、とうとう集団で労働基準監督署に駆け込むことになったのです。
申告を受けての労働基準監督署の臨検は厳しく、メールや電話の利用時間帯なども確認したうえで、裁量労働制の乱用だと判断したのです。
その後、みなし残業代を月20→30時間分へ増やしたりしましたが、結局、裁量労働制の運用は廃止されました。
裁量労働制の悪用は犯罪行為である
日本の労働法制は極めて企業寄りなので、労働者の権利は守られにくいのです。
裁量労働制の悪用はサービス残業の強要(=給与不払い)、つまり、泥棒と同じですから、反社会的な違法行為です。
サービス残業を強要した悪徳経営者が牢屋に入れられた事例を私は知りませんが、本来ならば、厳しく罰せられ、その企業自体が社会から強制的に退場させるべきです。
社員にタダ働きをさせなければ成り立たないということは、経営に失敗しているということです。
反省せずにダラダラと続けてしまうのは、間違いから学び改善する能力に欠けているからです。
経団連は働き方改革と称して、タダ働きの合法化を政府に働きかけていますが、名の通った「一流企業」でもこの程度のレベルなのです。
大企業の下請けと化している中小零細企業はもっと悲惨なところもあります。
反社会集団とは早めに手を切ろう
サービス残業を強要するような企業は、その他の違法行為もしている場合が多いのです。
・記録に残さないで早朝活動を強制する。
・残業時間を勝手に少なく書き換える。
・仕事に関係のある資格試験を休日に受けさせて、休日手当も払わず、代休も取らせない。
・出張の移動時間を勤務時間と認めない。
・その他いろいろ・・・
初歩的な知識や判断能力が無く、倫理も倫理も通用しない企業の商品は品質に問題があり、不正やクレームが絶えません。
華やかな宣伝・広告にお金をかけていても内情はドロドロ・・・
こんな企業に未来はありません。
伝統的大企業でも、凋落の一途をたどっているところは多いのです。
働いている社員はそのことを分かっているはずです。
もう年も年だし、会社にしがみつく以外の選択肢を思いつかない人は、それでもいいでしょう。
しかし、少しでも問題意識があり、若くて優秀な人ならば、使い潰されて捨てられるのを待つ必要はありません。
早めに見切りをつけて、自分を生かせる環境に転職するのも大いにありだと思います。
現在は、転職支援サービスが発達し、利用しやすくなっています。
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