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厚生労働省による企業名公表は長時間労働の抑止に効果があるのか?

悪質企業の公表事例

厚生労働省は、そのホームページで悪質なブラック企業名を公表しています。

その中には、過労死ニュースで話題になった電通も含まれています。

企業名の公表だけでなく、具体的な事例も書かれています。

・月100時間を超える労働により、脳や心臓の疾患を起こした。

・1か月間、一日も休ませずに働かせた。

・労働時間を過少申告させ、残業代をきちんと払っていない。

・18歳未満の者に対して、深夜労働を含む時間外労働をさせていた。

詳細は、厚生労働省のホームページなどを参照してください。

具体的な企業名公表という措置は、いわゆる見せしめの効果も狙っているようです。

公表されている内容は氷山の一角

厚生労働省が公表している事例は、いうまでもなく、氷山の一角です。

悪質事例が数百程度で済むわけがありません。

日本全体がブラック化しているという認識が必要です。

各地の労働基準監督署がすべての事業所を常に監視し続けるのは、物理的に不可能です。

被害に遭って我慢できなくなった労働者からの実名・匿名の情報提供があって、ようやく重い腰を上げるのです。

監督署が狙いを定めた臨検を行う場合、労働時間の確認も行いますが、提出されてた書類を鵜呑みにすることはありません。

悪質企業は、労働者に過少申告させるのが普通ですから、パソコンのログオフ時間や電子メールの日付時間を参考にして、実労働時間との乖離を把握するのです。

それでも、出張・移動や、自宅に持ち帰っておこなう風呂敷残業までは追っかけることができません。

強い権限を持つ労働基準監督署でも調査の限界があるのです。

公表されている事例・数字は実際の1割以下だと思って構わないでしょう。

公表されても企業は痛くない?

事業所で違反事例があると、監督署は指導や是正勧告を行います。

その結果、労働時間が減ったり、労働者に残業代が払われたりします。

労災認定されれば、金銭的な補償も受けられます。

企業名が公表されれば、それが社会的制裁にもなります。

しかし、反社会的なブラック企業が運営しているブラック経営者が、本当に心の底から反省することはありません。

監督官をいかに巧妙にだますかという悪知恵に頭を使います。

経営者に実刑を言い渡して震え上がらせるくらいでないと抑止効果は期待できません。

しかし、そんな例は聞いたことがありません。

事故を起こしたばかりでなく、その後の労働環境も最悪の福島原発(東京電力)は典型的ですが、そこの経営者は牢屋にも入らず、のうのうと暮らしています。

基本的に、日本の法体系とその運用は企業寄りで、労働者を十分に守る働きをしていません。

真面目に規則を守るのではなく、目先の損得を優先して違反したもの勝ち、という風潮は誠に嘆かわしいですね。

労働条件はさらに悪化する見込み

日本国民の問題意識が低いのも問題です。

ブラック企業の代名詞として名を馳せたワタミの創業者を、政権党である自民党は公認候補にして、国会議員として当選させました。

自民党公認の政治家であるワタミ創業者(右)

過労死を起こした企業の経営者ではなく、殺された被害者の遺族を批判する人がいます。

潜在的に、「お上に楯突くなんて生意気だ」という意識があるのです。

「過労死は自己責任だ」と言われて大人しく黙っているならば、ブラック企業は蔓延し続けるでしょう。

日本国民の意識の低さを見越して、安倍政権は「働き方改革」を進めています。

その目玉が、高度プロフェッショナル制度の導入です。

いまでもやりたい放題の経団連が、喉から手が出るほど欲しがっていた法律です。

経営者側にとってのメリット(労働者側のデメリット)を以下に挙げます。

・年収1075万円以上の専門職に適用され、休息、労働時間、深夜労働などの規制が撤廃される。

・年に104日、4週間で4日間だけ休ませれば、、それ以外はいくら働かせてよい。

・4週間(28日)のうち4日休ませれば、残り24日間は、毎日24時間連続で働かせても違法とはならない。

・その結果、過労死が大量発生しても認定されず、遺族は泣き寝入りするしかない。

・年収制限は省令だけで今後どんどん引き下げられ、最終的には400万円になる予定。ほとんどのサラリーマンはサービス残業させられ放題となる。

ブラック経営者にとっては夢のような制度なのです。

選挙にも行かず、他人事を決め込んでいる人は、現実認識が甘いと思います。

我々が行える自衛策とは?

自分の頭で考えて、自分の責任で自己主張するという訓練を日本人は受けていません。

上意下達に慣れてしまっているので、異論を申し立てる人は例外的です。

産業別に労働組合を結成して、しっかり権利を主張し、労働条件の改善を勝ち取る他の先進国を見習えと言っても無理があるでしょう。

羊のようにおとなしく、個人個人がバラバラのままなら、現状は変えられません。

無力感に襲われているかもしれませんが、弱い個人でも出来ることはあります。

より良い労働条件を求めて職場を変えるのは、自分一人の判断で実行可能です。

「搾取労働はお断り」という意思表示を具体的に行動で示せば、社会に対して大きな影響を与えることになります。

ブラック企業は自然に淘汰されることになります。

失うものが比較的少ない人は、転職という手段を取りやすいでしょう。

働きながら手軽に転職活動するためのサービスも最近は充実しています。

カウンセリングも含めて利用料はかかりません。

下記リンク先の記事も参考にして、自分なりの自衛策を考えてみてください。

転職エージェントとの面談であなたが質問・確認すべきこととは?

以上